ボンフェロニの不等式
Bonferroniの不等式
$(X, \mathcal{B}, P)$を確率空間とする。 事象の列$\{A_k \in \mathcal{B}\}_{k \in \mathbb{N}}$について、次が成り立つ。
$$ P(\bigcap_{k=1}^{\infty}A_k) \ge 1 - \sum_{k=1}^{\infty}P(A_k^c) $$
証明
ドモルガンの法則より
$$ \bigcap_{k=1}^{\infty}A_k = (\bigcup_{k=1}^{\infty}A_k^c)^c $$
したがって、
$$ P(\bigcap_{k=1}^{\infty}A_k) = P((\bigcup_{k=1}^{\infty}A_k^c)^c) = 1 - P(\bigcup_{k=1}^{\infty}A_k^c) $$
ここで、事象の列$\{B_k \in \mathcal{B}\}_{k \in \mathbb{N}}$を、次のように取る。
$$ B_1 = A_1^c $$ $$ B_2 = A_2^c - A_1^c $$ $$ B_3 = A_3^c - (A_1^c \cup A_2^c) $$ $$ B_4 = A_4^c - (A_1^c \cup A_2^c \cup A_3^c) $$ $$ B_k = A_k^c - \bigcup_{i=1}^{k-1}A_i^c $$
このとき、
$$ \bigcup_{k=1}^{\infty}A_k^c = \bigsqcup_{k=1}^{\infty}B_k $$
が成り立つ。ここで右辺は、非交和(disjoint union)の意味である。
また、
$$ \forall k \in \mathbb{N}; B_k \subset A_k^c $$
が成り立つ。
そこで、
$$ P(\bigcup_{k=1}^{\infty}A_k^c) = P(\bigsqcup_{k=1}^{\infty}B_k) = \sum_{k=1}^{\infty}P(B_k) \le \sum_{k=1}^{\infty}P(A_k^c) $$
よって、 $$ P(\bigcap_{k=1}^{\infty}A_k) = 1-P(\bigcup_{k=1}^{\infty}A_k^c) \ge 1-\sum_{k=1}^{\infty}P(A_k^c) $$
が成り立つ。Q.E.D.
補足
Bonferroniの不等式は、積事象の確率の下界を見積もるのに使用できる。
ただし、右辺が負になる場合は、意味を持たない。
確率は0以上の値を取るものとして定義されているので、自明な不等式になってしまう。