楕円の方程式の導出
楕円の定義
楕円とは、平面上の相異なる2点からの距離の和が一定な点の軌跡のことをいう。
楕円の方程式の導出
やや面倒な計算であるが、楕円の方程式を導出する。
できるだけ丁寧に式変形を行う。
2つの点を$(-c, 0)$と$(c, 0)$とする。楕円の任意の点$(x, y)$は、この2点との距離の和が一定である。
この距離の和を$L$とすると、
$$ \sqrt{(x + c)^2 + y^2} + \sqrt{(x - c)^2 + y^2} = L $$
左辺の第二項を右辺に移項して、
$$ \sqrt{(x + c)^2 + y^2} = L - \sqrt{(x - c)^2 + y^2} $$
両辺を2乗すると、
$$ (x + c)^2 + y^2 = \{L - \sqrt{(x - c)^2 + y^2}\}^2 $$
右辺を展開して、
$$ (x + c)^2 + y^2 = L^2 - 2 L \sqrt{(x - c)^2 + y^2} + \{(x - c)^2 + y^2\} $$
右辺の最終項を左辺に移項して、
$$ \{(x + c)^2 + y^2\} - \{(x - c)^2 + y^2\} = L^2 - 2 L \sqrt{(x - c)^2 + y^2} $$
左辺を展開すると、
$$ (x^2 + 2cx + c^2 + y^2) - (x^2 - 2cx + c^2 + y^2) = L^2 - 2 L \sqrt{(x - c)^2 + y^2} $$
左辺を整理すると、
$$ 4cx = L^2 - 2 L \sqrt{(x - c)^2 + y^2} $$
右辺の$L^2$を左辺に移項して、
$$ 4cx - L^2 = -2 L \sqrt{(x - c)^2 + y^2} $$
両辺2乗すると、
$$ (4cx - L^2)^2 = 4 L^2 \{(x - c)^2 + y^2\} $$
両辺を展開して、
$$ 16c^2x^2 -8L^2cx + L^4 = 4 L^2 x^2 - 8 L^2 cx + 4L^2c^2 + 4L^2y^2 $$
両辺に$8 L^2 cx$を足すと、
$$ 16c^2x^2 + L^4 = 4 L^2 x^2 + 4L^2c^2 + 4L^2y^2 $$
$x$と$y$の項を左辺に、定数項を右辺に移項すると、
$$ 16c^2x^2 - 4 L^2 x^2 - 4L^2 y^2 = 4L^2c^2 - L^4 $$
左辺を$x^2$でまとめると、
$$ 4(4c^2 - L^2)x^2 - 4L^2 y^2 = 4L^2c^2 - L^4 $$
右辺を$L^2$でまとめると、
$$ 4(4c^2 - L^2)x^2 - 4L^2 y^2 = L^2 (4c^2 - L^2) $$
両辺を$L^2 (4c^2 - L^2)$で割ると、
$$ \frac{4x^2}{L^2} - \frac{4y^2}{4c^2 - L^2} = 1 $$
$L > 2c$だから、$L^2 - 4c^2 > 0$となるので、これが出てくるように整理すると、
$$ \frac{4x^2}{L^2} + \frac{4y^2}{L^2 - 4c^2} = 1 $$
最後に、左辺の分母・分子を4で割ることによって、
$$ \frac{x^2}{(\frac{L}{2})^2} + \frac{y^2}{(\frac{L}{2})^2 - c^2} = 1 $$
を得る。
$$ a = \frac{L}{2} $$
とおけば、
$$ \frac{x^2}{a^2} + \frac{y^2}{a^2 - c^2} = 1 $$
さらに、
$$ b^2 = a^2 - c^2 $$
とおけば、
$$ \frac{x^2}{a^2} + \frac{y^2}{b^2} = 1 $$
である。
これは楕円の標準形と呼ばれる。