メリン変換
メリン変換とはなにか?
メリン変換とは、積分変換(integral transform)の一つである。次のように定義される。
$$ \hat{f}(s) = \int_{0}^{\infty}{f(x)x^{s-1}dx} $$
ここで、$s \in \mathbb{C}$である。
関数の変換であるという意味で、
$$ \mathcal{M}: f \mapsto \hat{f} $$
という記法も使われる。
積分変換
次の式を用いた関数の変換を積分変換という。
$$ \hat{f}(y) = \int_{a}^{b}{f(x) K(x, y) dx} $$
ここで、$K(x, y)$は核(kernel)と呼ばれる。
積分変換には様々な種類のものがあり、代表的なものとしてはフーリエ変換、ラプラス変換がある。
メリン反転公式 (Mellin inversion formula)
メリン変換の逆変換は、次で与えられる。
$$ f(x) = \frac{1}{2\pi i} \int_{\sigma - i \infty}^{\sigma + i \infty}{\hat{f}(s)x^{-s}ds} $$
ここで $\sigma \in \mathbb{R}$である。
右辺の積分路は、ラプラス逆変換で現れるブロムウィッチ積分と同じ積分路である。
この公式は、フーリエ変換を既知とすれば、次のように得られる。
定義式の積分で、$x = e^u$と変数変換すると、
$$ \hat{f}(s) = \int_{u = -\infty}^{\infty}{f(e^u)e^{u(s-1)} e^u du} = \int_{u = -\infty}^{\infty}{f(e^u)e^{us} du} $$
さらに、
$s = \sigma - i t$とおくと、
$$ \hat{f}(\sigma - i t) = \int_{u = -\infty}^{\infty}{f(e^u)e^{u(\sigma - i t)} du} = \int_{u = -\infty}^{\infty}{f(e^u)e^{\sigma u} e^{- i t u} du} $$
この式で、
$$ g(u) = f(e^u) e^{\sigma u} $$
$$ G(t) = \hat{f}(\sigma - it) $$
とおけば、$G(t)$は$g(u)$のフーリエ変換である。フーリエ逆変換によって、
$$ g(u) = \frac{1}{2 \pi}\int_{-\infty}^{\infty}{G(t) e^{i t u} dt} $$
すなわち、
$$ f(e^u) e^{\sigma u} = \frac{1}{2 \pi}\int_{-\infty}^{\infty}{\hat{f}(\sigma - it) e^{i t u} dt} $$
よって、
$$ f(e^u) = \frac{1}{2 \pi}\int_{-\infty}^{\infty}{\hat{f}(\sigma - it) e^{i t u} e^{-\sigma u} dt} = \frac{1}{2 \pi}\int_{-\infty}^{\infty}{\hat{f}(\sigma - it) e^{-u (\sigma - it)} dt} = \frac{1}{2 \pi}\int_{s = \sigma + i \infty}^{\sigma - i \infty}{\hat{f}(s) e^{-u s} (-\frac{1}{i} ds)} = \frac{1}{2 \pi i}\int_{\sigma - i \infty}^{\sigma + i \infty}{\hat{f}(s) e^{-u s} ds} $$
すなわち、
$$ f(x) = \frac{1}{2 \pi i}\int_{\sigma - i \infty}^{\sigma + i \infty}{\hat{f}(s) x^{-s} ds} $$
となり、メリン反転公式が得られた。