アンテナ・基本の基本
アンテナとはなにか
アンテナとはトランスデューサー(transducer, 変換器)の一種であり、電磁波(electromagnetic wave)を受け取る、もしくは送り出すものである。
図に表すと、こいうことである。
ちなみに、電磁波(electromagnetic wave)と電波(radio wave)は異なる。
電波は電磁波の一種で、電磁波の中でも周波数の低いものを指す。
上の図では、一般化して電磁波と媒質と書いているが、 ほとんどの場合、アンテナは「電波」を「空気中に」送り出したり、空気中から受け取ったりするものである。
アンテナは、物理的には、導体とその周りの素材からできている。
素材の特性や配置によって、アンテナの特性が決まる。
モノポールアンテナやパッチアンテナ(マイクロストリップアンテナ)など、様々なアンテナが考案されている。
アンテナの一般的な特徴
アンテナは、送信するときと受信するときで働きが違うので、本来は別々にその特徴を調べるべきだが、幸いなことに、送信(transmit)と受信(receive)の間には、双対的な関係があることがわかっている。
したがって、アンテナについて述べるときは、一般的に送信に関する性質のみを言及する (なので以下はそのようにする)。
アンテナは一般的に次のような性質がある。
方向的な偏り
まず、アンテナから放出される電磁波のエネルギーは、多くの場合、空間に均一に放射されない。特定の方向で強くなり、特定の方向で弱くなる。
周波数的な偏り
また、周波数についてもその性質は一様ではない。特定の周波数で効率的に放射され、その周波数から離れた周波数では非効率になる。
アンテナの特性の記述
方向的な偏り
「方向的な偏り」の特性を記述するものとして、指向性・利得・放射パターンがある。
指向性 (directivity)
まず、リファレンスのアンテナとして全方向に等しい強度で放射するアンテナを使用する。
指向性とは、リファレンスアンテナと対象のアンテナに同じパワーを印加したときに、放射される電波の強度の比である。
この定義から、指向性は、向きごとに異なる値を持つものとなるが、特に何も言わずに「指向性」という場合は、全方向で最大の値のことを指す。
つまり、「このアンテナの指向性は3である」といえば、そのアンテナは、リファレンスアンテナの3倍の強度で放射するような方向を持つことを意味する。
利得 (gain)
利得は、指向性と効率(efficiency)の積である。
効率は、内部電力の抵抗損(ohmic loss)を表すものであり、放射された電波の総電力と、入力された電力の比である。
放射パターン (radiation pattern)
放射パターンは、相対的な強度を幾何的に表現したものである。
これは説明するより絵を見るほうが早い。
要するに各方向の指向性をレーダーチャート風に極座標でプロットしたものである。
この図により、アンテナの指向性が可視化される。
周波数的な偏り
等価共振回路 (equivalent resonant circuit)
周波数特性は、アンテナと等価な共振回路を示すことで記述される。
送信の場合
受信の場合
回路の共振周波数に近い周波数の信号は、効率的に放射される。
帯域幅 (bandwidth)
この共振回路で考えたとき、電力レベルが、共振周波数のときの半分となる下限の周波数と上限の周波数の間の幅を帯域幅という。